新型コロナウイルスの影響で旅客便の運航便数が激減する中、貨物輸送の需要が高い状況が続いています。そんな中、貨物専用機だけでは不足する貨物需要を補うために旅客機を使用した貨物輸送が実施されている他、旅客機の客室座席に貨物を搭載する運航(Transportation of Cargo in the Passenger Cabin)が世界の多くの航空会社で実施されています。
これに関して、普段は乗客が占有する場所に貨物を搭載することから、安全運航確保の視点で懸念事項が存在しています。
・貨物の固縛状況をどのように確認するか? 乱気流下の運航で貨物の安全性は保たれるか?
・火災に対する警報装置や消火装置が装備されていない客室の安全性は?
・客室で輸送する可能性のある危険物をどのように取り扱うか?
・貨物の重量や搭載位置による、重心位置などの考察は十分か? など
各社はICAOが発行している、新型コロナウイルスに関連して通常と異なる手順など実施する場合のガイダンス「Quick Reference Guides」に記載されている「客室内における貨物輸送に関する運航および耐空性の注意点」等を参考に運航を行っています。
通常運航とは異なる時限的な運航とは言え、上空において客室内で火災等が発生した場合、安全運航に影響を及ぼす事態になる可能性は十分にあることから引き続き注視していく必要があります。