全日本空輸(ANA/NH)は1月27日、ボーイング787型機で2016年に起きたエンジン不具合について、製造元の英ロールス・ロイス(RR)が改良型部品の供給を始めたことを明らかにした。
トラブルが起きたのは、787に左右1基ずつ計2基搭載されているRR製エンジン「トレント1000」。エンジン内で、燃焼ガスを発生させるために必要な圧縮空気を送り出す圧縮機を回す「中圧タービン」のニッケル合金製タービンブレードが破断するトラブルが、2016年に複数発生した。
最初にトラブルが起きたのは、2016年2月22日のクアラルンプール発成田行きNH816便(787-8、登録番号JA804Aの右エンジン)。2件目は3月3日のハノイ発羽田行NH858便(787-8、JA807Aの右エンジン)で、その後は8月20日に国内線の羽田発宮崎行きNH609便(787-8、JA825Aの右エンジン)でも起きた。RRは当初、国内線では発生しない不具合であるとANAに説明していた。
いずれもトラブルが発生したエンジンをパイロットが手動で停止し、出発空港へ緊急着陸している。787は短時間であれば、使用出来るエンジンが1基だけでも最寄りの空港まで飛行出来る。
トラブルを受け、ANAは8月25日に事実を公表。翌26日から31日まで、787で運航する国内線のうち、計18便を欠航した。欠航や遅延は国内線のみで、国際線に影響は出なかった。ANAによると、8月の対応以降は同種の不具合は起きていないという。
エンジンを製造したRRは9月に入り、対策を施した改良型タービンブレードの供給を、2017年1月にも開始する意向を示していた。
ANAによると、改良型ブレードの供給は今月始まったばかりだという。現在787を57機(787-8が36機、787-9が21機)保有しており、3年後の2019年末までにすべて改良型に交換する。
(Aviation Wire 170127)