◇政府方針、20年代に都市部も 目視外でも監視つけずに
政府は2018年ごろに、小型無人機による離島・山間部における荷物配送を本格化させる仕組みを導入する。さらに20年代ごろには都市部における荷物配送を本格運用できるように機体の認証制度や操縦者の資格制度などについて早期に検討・整備する方針だ。現在は、目視外の場合は原則、操縦者以外の監視をつけることが承認に際して求められているが、目視外でも監視を付けずに安全を確保する仕組み・技術の導入を前提に実現を目指すもの。政府はまた、航空機と小型無人機相互間の安全確保のために、16年度末をめどに有人機と無人機、無人機同士の衝突回避ルールなどを整備する。
7月29日開催の「第5回小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」で、小型無人機のさらなる安全確保のための制度設計の方向性を確認した。政府の「小型無人機に関する関係府省庁連絡会議」で報告するなどして、具体的な制度をとりまとめる予定だ。
昨年11月5日の「第2回未来投資に向けた官民対話」において示された「早ければ3年以内にドローンを使った荷物配送を可能とすることを目指す」という総理指示に基づき、今年夏までに方針を策定することとされている。
昨年12月に施行された改正航空法により、無人航空機は空港周辺、150メートル以上の上空、人家の密集地域での飛行が禁止されている。飛行させる場合には、国土交通大臣の許可が必要だ。また、日中の飛行、目視の範囲内、人や車などと一定距離の確保などが求められている。こうした条件以外で飛行させる場合には、国土交通大臣の承認が必要とされている。
現在は、目視外での飛行については原則、操縦者以外の監視をつけることが承認に際して求められている。
一方、政府は18年ごろに離島や山間部において、監視をつけなくても、小型無人機の運航状況を把握・安全を確保できる仕組み・技術などの導入で、運航を承認する仕組みを整備する方針だ。20年代には、都市部内でも高度な安全確保の仕組み・技術の導入を前提に、目視外でも監視をつけずに荷物配送を可能とすることを目指す。政府はプライバシーの保護や第三者の土地の上空飛行について、ガイドラインの周知や自主的ルールの策定も促進する。
また民間団体などによる講習会や運航管理マニュアルについて、一定の基準に適合しているものを国交省ホームページに掲載し、これを利用する場合に審査を一部簡素化することなども検討している。
◇航空情報(ノータム)運用改善
さらに航空機、小型無人機相互間の安全確保に向けて、航空機と小型無人機の運航者などが参画する検討会を早期に立ち上げ、16年度末をめどに有人機と無人機、無人機同士の衝突回避ルールなどを整備。空港などの周辺で誤作動・誤操作による危険を未然に防ぐルールや対策も検討する。有人機と無人機の運航者が飛行情報を共有できる仕組みも構築するとともに、航空情報(ノータム)の運用を改善する。
7月29日の官民協議会では、加入保険の継続徹底など安全意識の維持・向上、目視外飛行を支える無線システムのあり方などについて検討を深めることも確認した。(日刊カーゴ160801)