厳しい気候及び航空への依存度の高さにより、カナダは着氷に関する研究の中心となった。National Research Council of Canada(NRC)による氷の粒子を検知する2つのテクノロジーは、間もなく開発の場を産業界に移そうとしている。

超音波着氷センサーは、高高度における高濃度の氷の粒子によってエンジン内部に着氷が発生し、推力の低下又はフレームアウトに至るという最近明らかになった脅威に対応するものである。

もう一つは、航空機又はエンジンの表面上に取り付けられた氷の粒子を検知するプローブによって、高高度のアイスクリスタル環境を飛行中に周囲の大気の電気的な性質の変化を計測し、氷の粒子を検知するものである。NRCによると、これらのセンサーの技術成熟度レベルは6であり、間もなく産業界に開発の場が移されるという。

雲の内部の液体の水に起因する航空機の着氷は数十年前から懸念されてきたが、最近の研究では、雲の中のアイスクリスタルについてのリスクに対して、より焦点が当てられてきた。アイスクリスタルは、高濃度であっても機上レーダーで検知することができず、エンジンの運転を妨げ、ピトー管を塞ぐ可能性がある。

NRCは、氷の堆積の兆候を早期に知らせる信頼性の高いセンサーはなく、超音波着氷センサーがこのギャップを埋めることができると述べている。パッチのようなこのセンサーは小型で薄く、軽量かつ小電力である。このセンサーは、スピーカー及びマイクのように機能し、着氷によって影響を受ける外板や壁面の裏側から超音波を送り、表側の状況についてのデータを集めることができる。

このセンサーは、多くの他のセンサーと異なり、着氷をモニターすべき環境中に取り付ける必要がないため、センサーへの着氷により破損したり、外れてエンジン内部に吸い込まれる心配がない。

2015年11月、着氷に関するNRC及び米国航空宇宙局(NASA)間の合意に基づき、Honeywell及びIce Crystal Consortiumの協力の下、NASA Glenn Research Centerにおいて、超音波着氷センサーの試験が行われた。試験では、12個のセンサーがエンジンに取り付けられ、高度30,000ftの着氷環境が模擬された。

Fuleki氏によると、試験の初期的な結果は非常にポジティブなもので、着氷の激しさが計測できたという。

また、NRCは、氷を検知するだけであれば1つのセンサーで十分であるが、軽量、小型かつ省電力であることから、着氷範囲を詳細に把握できるよう、複数のセンサーを取り付けることもできるとしている。

氷の粒子を検知するセンサーは、エアバスが率いるHigh-Altitude Ice Crystalプロジェクトにおいて開発され、試験が行われている。小型かつ軽量で、さらに省電力で空気抵抗の小さい機体表面に埋め込まれたセンサーは、750時間を超えるアイスクリスタル高高度風洞試験が行われており、NRC及びエアバスの航空機により140時間を超える飛行試験が行われている。NRCによると、このプローブは、天然のアイスクリスタルから液体の水まで検知することができ、オタワ周辺の中緯度地域から赤道までの広いエリアにわたり、40,000ftより高い高度で使用できることが確認されたという。

このプローブは、粒子、氷及び液体の水の電荷を計測することができ、Fuleki氏によると、風洞試験及び飛行試験の結果はすばらしいものだったという。 (Aviation Week 160418)