連邦航空局(FAA)は、21日、商用の小型無人航空機システム(UAS)に関する初めての規則を策定し、国家航空システムにUASを完全に組み込むための道筋を切り開いた。
Anthony Foxx運輸長官は、「無人航空機(UA)のポテンシャルによって、特定の業務、情報収集、災害時の救援等がより安全かつ容易となるだろう。我々は、航空のコミュニティーとともに、安全を確保しつつイノベーションのサポートに協力していくことを楽しみにしている。」と述べている。
業界の推計によると、この規則が今後10年間で生み出す利益は820億ドルを超え、10万人を超える雇用が創出されるという。
8月下旬に施行される予定のこの新しい規則(14 CFR Part 107)は、ホビー用を除く55ポンド未満のUAのための安全規則で、他の航空機並びに地上の人及び物件に対するリスクを最小化するため、次のような運航に関する事項が規定されている。
・操縦者は、UAを自身又はオブザーバーの視界(Visual Line-of-Sight、VLOS)の範囲内で飛行させなければならない。オブザーバーを置く場合であっても、操縦者からUAが常に見えていなければならない。
・UAの飛行は、日中及び薄暮の時間帯(衝突防止灯が装備されている場合に限る。)に限る。
・高度は原則として対地400フィート以下、速度は87ノット以下
・UASの運航に携わっていない者の上空の飛行禁止
FAAは、一定の条件の下に安全が確保される場合に一部の規制の適用を免除するためのプロセスも用意しており、数か月の間にオンラインで申請できるようにするとしている。
FAAのMichael Huerta長官は、「我々は、この新しいテクノロジーを展開させるニーズと安全を守るというFAAのミッションのバランスをとるための注意深く、かつ、慎重なアプローチをとっている。この新しい規則はその第一歩にすぎず、我々は既に運航の範囲を拡大するための更なる規則についての作業に取りかかっている。」と述べている。
また、今回の規則には、次のように規定されている。
・UAを操縦者は、16歳以上であり、小型UASのための遠隔操縦者証明を保有するか、当該証明を保有する者の監督を受けなければならない。
・遠隔操縦者証明を受けるためには、FAA認定の試験場で学科試験に合格しなければならない。航空機の操縦士の技能証明を保有している場合には、過去24か月以内のフライトレビューの実施及びFAAによるオンラインの訓練コースの受講でもよい。
・遠隔操縦者証明の発行の前には、運輸保安局(TSA)による素性調査が行われる。
・小型UASは耐空証明を受けなくてよいが、安全に関するシステム(地上の操縦者とUA間の通信システムを含む。)が適切に機能することを確認するために、運航者が飛行前に目視点検及び作動確認を行う責務を有している。
新しい規則はプライバシーの問題について定めておらず、FAAはUASによる人や財産に関するデータの収集について規制していないが、FAAはUASの運航者に対してプライバシーに配慮するよう呼びかけるとともに、州の法律や条例を確認することを推奨している。
プライバシーに関する啓蒙活動の一環として、FAAはUASの登録のプロセス及びFAAが公開している携帯端末用のB4UFlyアプリを通じて、プライバシーに関するガイドラインについて情報提供することとしている。また、遠隔操縦者証明のプロセスにおいて商用UASの操縦者に対して啓蒙を行うとともに、州政府や地方自治体に対するガイダンスを発行することとしている。これらのFAAによる取組みは、国家電気通信情報局(NTIA)が5月に発行した「ベストプラクティス」に基づいている。
ホビー用のUASについては、今回の規則(14 CFR Part 107)は適用されず、これまでどおりPublic Law 112-95のSection 336の基準(14 CFR Part 101に反映される。)に従う必要がある。
(FAA 160621)