―問題のある事故調査報告書の検討―

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事故調査報告書に物申す!

 航空機の発達は近年目覚しいものがあり、航空輸送も社会になくてはならないものとなりました。一方、ひとたび航空事故が発生すると社会に重大な影響を及ぼすため、同種の事故を起こさないためにも徹底した原因究明が行われなければなりません。また、現代の航空機の運航は複雑で精密な航空機、高度の技術を用いた航空交通管制や運航管理など、まさに巨大なシステムで成り立っています。複雑に絡まりあったシステムの中から事故に関係した要因を見つけ出すには、謙虚に事実を受け止めて真摯で科学的な調査を行わなければなりません。それが事故調査機関に対する国民の期待でもあります。

 しかしながら日本における事故調査は、往々にして航空会社の運営や機体の問題、そして行政の監督のあり方などに踏み込むことなく、いわば政治的に決着を図ってきた歴史があります。

Boeing_727-81

 例えば 1966 年のB727 東京湾墜落事故では、墜落直前にエンジンが異常を起こして機体から脱落していた形跡があるにもかかわらず、あえて原因不明とした事故調査報告書をまとめましたが、事故調査委員長がB727 導入に積極的な立場であったことが影響したとも言われています。この事故調査では、当時事故調査委員で航空機の設計者であった山名正夫東大教授が事故調査報告書の結論に異議を唱え、数多くの実験を基にした解析を行い、エンジンが異常燃焼を起こして機体から脱落したという独自の事故調査報告書を個人的に発表する事態になりました。

 また 1952 年に米軍による管制の下で三原山に衝突した日本航空「もく星号」事故や、その後現在に至るまでに発生した米軍機と日本の旅客機とのニアミスなど、米軍の関与が疑われるケースでは、ほとんど調査らしい調査は行われていません。

YS-11

 1966 年のYS11 型機の松山事故では、着陸をやり直す途中で海に墜落しましたが、片方のエンジンの出力が低下していた形跡があったにもかかわらず、事故調査ではエンジンやプロペラには問題がなかったとされました。この事故とほぼ同じような状況の事故が1983 年の中標津事故で再発しましたが、いずれの事故も航空機メーカーや整備を担当した企業がエンジンやプロペラの技術調査を担当していました。

 1機が数百億円という高価な航空機自体に問題があることが明らかになると、メーカーや製造国が蒙る経済的打撃は計り知れないものがあります。B747 日航123 便事故やMD-11 型機の706 便事故のように、米国の国益が強く作用したと思われる事故調査も見られます。

事故調査報告書

 航空・鉄道事故調査委員会の発表する事故調査報告書は、一般には権威のあるものとして見られていますが、実際は事故調査委員会内のチェック機能や発表された事故調査報告書をチェックするシステムが不備なため、矛盾を含み問題のある事故調査報告書もまかり通っている状況です。

 事故調査報告書にはその内容を確認できる資料が含まれておらず、第三者には真偽の確認さえ出来ない現実があります。さらに、新しい事実を基に再調査を要請しても、「報告書に書いたことが全て」という立場を取り続けており、再調査を行う姿勢は見えません。

 私たちはこのような日本の事故調査に警鐘を鳴らし、大型旅客機から小型機、さらにグライダーの事故に至るまで、真に科学的な事故調査が行われるよう、内容に疑問があり推定原因に納得がいかない事故調査報告書を、順次洗い出していきたいと考えています。

 事故調査報告書を読まれて、内容に疑問を持たれた方は、ぜひ日乗連までご意見をお寄せ下さい。国民の期待に沿う事故調査が行われるよう、皆様と共に取り組んでいきたいと思います。

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